以前のエントリー「道立紋別病院 救急撤退(4)」に、ハーフドロッポ様から、紋別の近況についてコメントをいただきました。情報、有り難うございます。どうやら粛々と崩壊が進んでいるようです。
1ヶ月遅れのコメント失礼します。会合でどういう議論がされるか、楽しみです。
地元の先生からの情報で、来週一次救急に関する関係者の会合があるそうです。一番の問題は小児科の取り扱いです。
いままでも内科外科の1次輪番はやっていましたが小児科は各輪番病院ともほとんど断っていました。今回道立紋別病院が時間外をほとんど診なくなったので小児科の患者も一次輪番病院に流れてきました。
今まで小児を見たこともない開業医の先生方が圏外医療機関への配慮から紋別市や道立病院院長に無理やり診療を強制されており、小児科用薬剤を在庫する費用負担、そしてそれ以上に医療事故に対する不安から強い反発が出ているそうです。
紋別市のホームページから確認できますが、医師が減ったとはいえ10名近い医師を抱える道立病院もほとんど一人でやっているような開業医も当番の回数はほぼ同じです。また、紋別市の輪番制度においては各医療機関には1円も補助金は分配されていません。(道からの僅かな補助金は医師会が独り占めしていますし紋別市はそもそも1円も支出していません)
10月以降も体制が続けられるかについて、私はかなり悲観的な予想をしています。
上記の会合のことではないようですが、5月12日付けのオホーツク新聞に、こんな記事があります。
【道立紋別病院特別委】広域連合で疑問の声
1次・2次救急財政支援で協議
委員会では市側から道立紋別病院に関する経過について報告された。道立紋別病院については、3月14日に市は4月以降の同病院での夜間・休日の2次救急一時休止を受けて非常事態宣言を発令し、同28日に二次救急を遠軽厚生病院へ搬送することで対応していた。委員会で市は、4月7日に遠軽厚生病院と協議し、2次救急の支援協力に対しての財政負担について今後、双方で協議していくことを確認したと説明。また、翌8日には紋別医師会から1次救急に対する財政支援の要請があり、これについても協議していく方向であることが示された。3次医療・救急についても、23日に宮川市長と道立紋別病院の及川郁雄院長、紋別医師会の古寺純嗣事務長が北見赤十字病院を訪問し、同病院の吉田茂夫院長から「従来通り対応していく」旨の回答を得たことを明らかにした。
委員会では阿部秀明委員から、財政支援に関して具体的内容についての質問があり、石川治美保健福祉部長は、2次救急に関しては遠軽厚生病院の医師疲弊を挙げた上で「ある程度の一定支援を受けたいと要請があった」と報告。紋別医師会についても「輪番制による通常時間外の拘束について、それに見合う支援をしてほしいと要請があった」と説明した。
現在行っている道立紋別病院、紋別医師会による一次救急輪番制については9月をめどにした緊急避難的な対処であることから市側は、今後の方向性については「毎月検証をしながら結果を見て進めていきたい」として理解を求めた。
また、現在西紋5市町村で進めている広域連合については、4月から設置された市保健福祉部の広域医療担当者から、これまでの経緯と進捗状況が説明された。
広域連合の検討については、今年12月末までに検討事項について協議して内容を取りまとめる方向が示されている。広域連合による診療スタートは10年4月を目指しており、その上で市側は今年2月に発足した「西紋別地域における医療の広域化検討協議会」(会長=宮川市長)の事務局に、6月1日から派遣された道職員を配置することがほぼ決定したことを報告。事務局は、紋別市と道の職員で構成するとし、道職員は道立病院管理局の主幹職を配置する。
また、4月30日に石川部長を部会長にした第1回作業部会を開催したことも報告した。
広域連合に関しては、柴田委員長が「理想は高いがバランスを欠いた取り組みになるのでは。管内首長らとの熱のある討論は交わされたのか」と質問。宮川市長は、各町村にとっても紋別市と同様の危機感を持っているとした上で「それぞれの医療、救急については歴史や体制もあり一致しているとは決して言い切れない」としながら、「医師の待遇面など、積極的に取り組んでいく姿勢が一人でも多くの医師を確保できることにつながる。一刻も早く救急の体制を作っていかなければならない」とも理解を求めた。
広域連合について宮川市長は「現実に道立で頑張っていくというのは限界」とし、待遇面での配慮がなければ医師確保は難しい現状を説明。その上で、「これで固定したわけではないことで理解してほしい」と述べた。
ただ、野村淳一委員は「医療だけの広域連合はなく、成功しているところはない」とし、広域連合による10年4月からの診療体制スタートの日程面や、現在10人いる常勤医体制が、広域連合スタート時には常勤医25人とする見通しについても疑問を示した。
このほか、「地域のエゴがぶつかり難しいのでは」(青田輝智委員)「道が前面に出てくるのか、これを受け止めた取り組みをお願いしたい」(柴田央委員長)などの意見も出ていた。
このほか、委員会では同特別委として道立病院の院長らとの懇談の場を5月下旬にも設定したい考えも示され、今後折衝を図っていくとした。
(2008年5月12日 オホーツク新聞)
このオホーツク新聞の記事だと、紋別市は、二次救急の遠軽厚生病院や、一次救急を担当している市内開業医への財政的支援をこれから考えるそうですから、ハーフドロッポ様の仰るように、今のところ、救急にかかる資材費や人件費等のコストは医療現場に丸投げなんでしょう。
紋別市のHPによると、市内の医療施設は、道立紋別病院を含めても内科・外科系で10施設だけです。これで一次救急の輪番体制を組んでおり、7日に1回は当番があたるシフトになっています。毎週1回、平日だと午後5時〜翌朝9時、日祝日は朝9時〜翌朝9時まで当番として拘束されるというのは、かなり辛いでしょう。なにしろ、紋別市の医師は「平均年齢が65歳で、当番医の最高齢が80歳」です。加えて、小児科診療までとなると、相当のストレスだと思います。
この医療施設数では、輪番体制を組める限界といってもよいでしょうから、万が一、80歳の医師のかたが過労でリタイアしただけでも、一気に一次救急は崩壊するでしょう。かなりの危機的状況と思います。
紋別市が、市民に医療機関の節度ある利用を呼びかけている、という話は寡聞にして存じません。
そういえば、2011年4月からは、診療報酬請求のオンライン義務化が開業医レベルまで適応されます。このための設備投資や人件費負担は、初診時のIT加算30円を除けば、あとは全部医療機関の自己負担。このため、神奈川県の開業医の12%は開業医を辞める、とか、埼玉県の60歳以上の開業医の23%が廃業する、とか、京都府の60歳以上の開業医の31%が引退する、とか報じられています。(元記事のリンクが切れているので、伊関先生のブログ記事にリンクを貼らせて頂きました)
紋別市は、平均年齢65歳、最高齢80歳・・・・・・。
私個人の勝手な推量ですが、オンライン義務化で高齢開業医の大量引退が起こると、都市部では2010〜2011年ころに医院継承が盛んなるのではないかと想像しています。この結果、勤務医が多量に開業医に移行し、勤務医不足が一層深刻になるかもしれません。
しかし、それでも、紋別で継承して新たに医業を営もうという医師が現れるようには思えません。現状を見る限り、それは酔狂とか無謀の類いではないかと感じます。
オホーツク 大丈夫でしょうか。
2 コメント:
いつも興味深く拝見させていただいております。早く続きも見たいと楽しみにしております。
私は紋別出身で現在神奈川県に住んでいますが、全く他人事とは思えない状況に困惑するばかりです。
紋別市だけではない医療崩壊の現状には、私も非常に危惧しています。
何が一番の原因かという事に、コレという一つの要因が見あたらず、いくつもの要因が空間的および時間的経過の中でマスコミの誤解報道もあって複雑になった印象があります。
医師不足だけを取り上げるマスコミに対して、公立医療機関特有の気質をかたくなに保守しようとする医療労働者。
私もこの構図はよくわかります。
医療労働者にしても、自分の生活を守る為に余計な責任は負いたくないという気持ちもわかりますが、私には、その事と自分の業務範囲を自分で決めてしまったり、過剰な分業意識から人間関係を区別、差別というグループ化を招いてしまったり、病院運営にマイナス効果をもたらす結果となったように見えました。
こうしたマイナス効果は、向上心のある数少ない医療労働者までもやる気を削いでしまう危険があり、有能な人材は知らぬ間にどんどん辞めていってしまうでしょう。これを、「立ち去り型サボタージュ」などと言う言葉でかたづけられてしまっては、医療崩壊後の再建協力など得られるはずもありませんね。
「医療崩壊の最大の原因はマスコミ」、「医療再建の最大の障害が行政」と言われている事に私も賛同するところがあります。このブログこそ紋別市民に読んでいただきたい内容と思いました。
コメント有り難うございます。このブログは、タイトル名からして「これ、きわまった」という、諦め感漂う傍観ブログですので、あまり実りのある内容は期待できないと思いますが、よければ時々覗いてください。
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